8-4
9-2
 IPアドレス変換(専用線NAT)の設定
 
(LAN型ダイヤルアップIP接続/専用線IP接続共通)


IPアドレス変換(専用線NAT)の設定について説明します。

以降、インターネットへ接続することを例として説明します。
はじめに 専用線NATの概要 を参照して下さい。


以下の各項目を参照して下さい。

  専用線NATの仕様
  設定手順

LAN型ダイヤルアップIP接続の各設定について(第8章) へ戻る

専用線IP接続の各設定について(第9章) へ戻る



IPアドレス変換(専用線NAT)の設定が完了しましたら、使用する接続機能に応じて、それぞれ以下へ進んで下さい。

  ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続、またはLAN型ダイヤルアップIP接続の場合
8-5 自動切断の設定 へ進んで下さい。

  ISP・専用線IP接続、または専用線IP接続の場合
7-5/8-7/9-3 ネームサーバーの設定(RASサーバーIP接続/LAN型ダイヤルアップIP接続/専用線IP接続共通) へ進んで下さい。



  専用線NATの概要

専用線NATの概略について説明します。

専用線NATは以下の接続機能においてNAT、及びIPマスカレード機能を使用するための機能です。

  ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続
  LAN型ダイヤルアップIP接続
  ISP・専用線IP接続
  専用線IP接続


専用線NATを使用することにより、上記接続機能においてグローバルIPアドレスを同数以上のプライベートIPアドレスへ変換することが可能になります。

 ・プライベートIPアドレス インターネットと接続しない環境でのみ使用可能なIPアドレスです。
 ・グローバルIPアドレス インターネットで使用可能なIPアドレスです。
全世界で一括管理されており、他と重複しません。


以降、専用線NATを使用する場合・しない場合の、それぞれの違いについて説明します。


 

専用線NAT 未使用


例えば、ISPから割り当てられたグローバルIPアドレスが8個の場合、インターネットへ接続できるパソコンは5台までとなります。



ISPから割り当てられた8個のグローバルIPアドレス(xxx.xxx.xxx.128〜xxx.xxx.xxx.135)のうち、以下のIPアドレスはパソコンに割り当てることができません。

  IPアドレス : xxx.xxx.xxx.128
ネットワークアドレス(そのネットワーク・LAN全体を示すIPアドレス)として使用されます。
  IPアドレス : xxx.xxx.xxx.135
ネットワーク同報アドレスとして使用されます。
(このIPアドレス宛のデータはネットワーク・LAN全体に送られます。)
  IPアドレス : xxx.xxx.xxx.129〜xxx.xxx.xxx.134の中の1個
NetGenesisに割り当てます。
(LANポートIPアドレスに設定します。)
パソコンで使用できるIPアドレスは5個。
専用線NATを使用しない場合、インターネットへ接続できるパソコンは5台まで。



 

専用線NAT 使用

専用線NATを使用することにより、ISPから割り当てられたグローバルIPアドレスが8個であっても、5台以上のパソコンからインターネットへ接続できるようになります。



専用線NATを使用することにより、グローバルIPアドレスの個数以上のパソコンからインターネットへ接続可能。
パソコンで使用できるグローバルIPアドレスが5個であっても、5台以上のパソコンからインターネットへ接続可能。

専用線NATの概要 へ戻る

8-4/9-2 IPアドレス変換(専用線NAT)の設定 へ戻る




以降、専用線NATを使用する・使用しないに応じて、それぞれ以下へ進んで下さい。

  専用線NATを使用する場合
専用線NATの仕様 以降を順番に読み進んで下さい。

  専用線NATを使用しない場合
使用する接続機能に応じて、それぞれ以下へ進んで下さい。
  LAN型ダイヤルアップIP接続の場合
8-5 自動切断の設定 へ進んで下さい。
  専用線IP接続の場合
7-5/8-7/9-3 ネームサーバーの設定(RASサーバーIP接続/LAN型ダイヤルアップIP接続/専用線IP接続共通) へ進んで下さい。

 




  専用線NATの仕様

専用線NATの仕様について説明します。

使用環境に応じて、以下を参照して下さい。

  変換するグローバルIPアドレスが1つの場合
  変換するグローバルIPアドレスが複数の場合

8-4/9-2 IPアドレス変換(専用線NAT)の設定 へ戻る



 

変換するグローバルIPアドレスが1つの場合


1つのグローバルIPアドレスを、複数のプライベートIPアドレスへIPマスカレードによって変換します。

IPマスカレードは、1つのグローバルIPアドレスをLAN内の複数のIPアドレス(複数のプライベートIPアドレス)へ変換します。

(1対n変換 n=プライベートIPアドレスの個数・LAN内のパソコン台数)

ISPから割り当てられたグローバルIPアドレス「xxx.xxx.xxx.xxx」をプライベートIPアドレス「192.168.0.1〜192.168.0.254」へIPマスカレード変換します。


よって、グローバルIPアドレスが1つであっても、複数台のパソコンからインターネットへ接続することが可能になります。

  IPマスカレードによって、同時にインターネットへ接続できるパソコン台数(セッション数)について
IPマスカレードでは最大256セッションのデータのやりとりが可能です。(※)
「セッション」とはTCP/IPプロトコルによるデータ処理の単位です。
例えば、WWWブラウザの1つのウインドウを「1セッション」としてカウントします。(1つのウィンドウが、本マニュアルのようにフレームによって2つに分かれている場合は「2セッション」とカウントされます。)
通常、1台のパソコンでインターネットへ接続する場合、WWWブラウザやメールソフトウェア等により約10セッション程度使用すると考えられます。
すなわち、約20台程度のパソコンから同時にインターネットへ接続できると考えられます。
 ※ LAN側→シリアルポート(インターネット)側のセッション、シリアルポート(インターネット)側→LAN側のセッションの両方が対象となります。
  IPマスカレードにおける注意事項
一部、正しく動作しないソフトウェアがあります。
例えば、LAN内に以下のような用途で使用するパソコンがある場合、IPマスカレードの[詳細設定]が必要です。
 例1) WWWサーバーやFTPサーバーを運用するパソコン。
 例2) ネットワーク対戦ゲームを行うパソコン。
設定方法等については 第11章 IPマスカレードテーブルの設定 を参照して下さい。(設定を行うためにはTCP/IPプロトコルの知識が必要です。)

専用線NATの仕様 へ戻る


専用線NATの設定を行う場合は 設定手順 へ進んで下さい。


 

変換するグローバルIPアドレスが複数の場合

グローバルIPアドレスが複数の場合、最終グローバルIPアドレスを複数のプライベートIPアドレスへIPマスカレード変換を行います。

最終グローバルIPアドレス以外のIPアドレスは、プライベートIPアドレスと1対1でNAT変換を行います。

  IPマスカレード 1つのグローバルIPアドレスをLAN内の複数のIPアドレス(複数のプライベートIPアドレス)へ変換します。
(1対n変換 n=プライベートIPアドレスの個数・LAN内のパソコン台数)
  NAT グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを1対1で変換します。

グローバルIPアドレス   プライベートIPアドレス アドレス変換方式
xxx.xxx.xxx.129 192.168.0.1 NAT(1対1)
xxx.xxx.xxx.130 192.168.0.2 NAT(1対1)
xxx.xxx.xxx.131 192.168.0.3 NAT(1対1)
xxx.xxx.xxx.132 192.168.0.4 NAT(1対1)
xxx.xxx.xxx.133 192.168.0.5 NAT(1対1)
xxx.xxx.xxx.134 192.168.0.6
〜192.168.0.254
IPマスカレード(1対n) 


よって、グローバルIPアドレスの個数以上の台数のパソコンから、インターネットへ接続することが可能になります。

  IPマスカレードによって同時にインターネットへ接続できるパソコン台数(セッション数)について
IPマスカレードでは最大256セッションのデータのやりとりが可能です。(※)
「セッション」とはTCP/IPプロトコルによるデータ処理の単位です。
例えば、WWWブラウザの1つのウインドウを「1セッション」としてカウントします。(1つのウィンドウが、本マニュアルのようにフレームによって2つに分かれている場合は「2セッション」とカウントされます。)
通常、1台のパソコンでインターネットへ接続する場合、WWWブラウザやメールソフトウェア等により約10セッション程度使用すると考えられます。
すなわち、約20台程度のパソコンから同時にインターネットへ接続できると考えられます。
 ※ LAN側→シリアルポート(インターネット)側のセッション、シリアルポート(インターネット)側→LAN側のセッションの両方が対象となります。
  IPマスカレードにおける注意事項
一部、正しく動作しないソフトウェアがあります。
例えば、LAN内に以下のような用途で使用するパソコンがある場合、IPマスカレードの[詳細設定]が必要です。
 例1) WWWサーバーやFTPサーバーを運用するパソコン。
 例2) ネットワーク対戦ゲームを行うパソコン。
設定方法等については 第11章 IPマスカレードテーブルの設定 を参照して下さい。(設定を行うためにはTCP/IPプロトコルの知識が必要です。)

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専用線NATの設定を行う場合は 設定手順 へ進んで下さい。



  設定手順

専用線NATとRIPを併用する場合、[IPマスカレードテーブル]の設定が必要となります。
[IPマスカレードテーブル]の設定については 第11章 IPマスカレードテーブルの設定 を参照して下さい。

  ※1: ルーティングの設定(シリアルポート)画面(LAN型ダイヤルアップIP接続の設定画面)を開く手順が分からない場合は こちら を参照して下さい。 (WWWブラウザの別ウィンドウが開きます。)

  ※2: 専用線IP接続の設定画面を開く手順が分からない場合は こちら を参照して下さい。 (WWWブラウザの別ウィンドウが開きます。)


以下の手順で専用線NATの設定を行って下さい。
  1. [IPアドレス変換を行う]にチェックを入れて下さい。




  2. 変換を行うグローバルIPアドレスの設定を行います。

    [先頭IPアドレス]欄に、IPアドレス変換を行う先頭のIPアドレスを入力して下さい。




  3. 変換アドレス数の設定を行います。

    [変換IPアドレス数]欄の[▼]をクリックして、[先頭IPアドレス]から順にIPアドレス変換を行うIPアドレスの数を選択して下さい。




  4. アドレス変換情報の設定(IPマスカレード変換時※1)を行います。

     ※1: 変換するグローバルIPアドレスが複数の場合、最終グローバルIPアドレスがIPマスカレード変換対象となります。

    ここで設定した時間の間、セッション2が保持されます。
    例えば工場出荷値「3分」の場合、そのセッションのデータのやり取りが無くなった後(通信が終了した後)、3分間セッションが保持されます。
    (3分後にそのセッションは解放され、他の通信で利用可能になります。)
     ※2: セッションについては こちら を参照して下さい。

    工場出荷値は3分です。
    特に変更する必要が無い場合、このままお使い下さい。


    設定を変更する場合は[▼]をクリックして設定値(時間)を選択して下さい。



    IPマスカレード変換で256セッションを越えた場合、それ以降は新たなユーザー(パソコン等)がインターネットへ接続しようとしても接続できません。 無通信状態がここで設定する[情報保持時間]を過ぎた場合、接続権利を譲るため、新たなユーザー(パソコン等)が接続できるようになります。

    備 考
    〜 [情報保持時間]の設定値を変更する際の注意 〜
    (IPマスカレード変換時)
    [情報保持時間]の設定値を工場出荷値(3分)よりも長い時間に設定する場合、インターネットとの通信状況によってはデータの送受信が停止することがあります。
    例えば[情報保持時間]を[3時間]に設定した場合、ある1つの通信が終了してもそのセッションは3時間保持され続けるため、NetGenesisの同時使用可能なセッション数・256を使い切ってしまうことが考えられるためです。
    (WWWブラウザであるホームページを参照した後、別のホームページへジャンプしても、その前に参照していたホームページとのセッションは3時間保持されます。)
    [情報保持時間]を工場出荷値よりも長い時間に設定する場合、インターネットとの通信状況やLAN内のパソコンの台数等を考慮した上で設定するようにして下さい。
    (NetGenesisが256セッションを使い切っている場合、SYSLOG上に「IP Masquerade session table full」と表示されます。SYSLOGについては 10-6 SYSLOGの設定 を参照して下さい。)


  5. 以上で設定は完了です。

    以下の画面例の場合、IPアドレス「111.111.111.129〜111.111.111.133」はNAT変換用として使用します。

    IPアドレス「111.111.111.134」はIPマスカレード変換用として使用します。



    LAN内に以下のような用途で使用するパソコンがある場合、注意が必要です。
     例1) WWWサーバーやFTPサーバーを運用するパソコン。
     例2) ネットワーク対戦ゲームを行うパソコン。
    この場合、以下のどちらかの対処を行って下さい。
      NATで変換されるIPアドレス(パソコン)で使用する。
      IPマスカレードで変換されるIPアドレス(パソコン)で使用する場合、[IPマスカレードテーブル]の設定を行う。
    [IPマスカレードテーブル]の設定については 第11章 IPマスカレードテーブルの設定 を参照して下さい。


  6. [OK]ボタンをクリックして下さい。


以上で専用線NATの設定は完了です。

備考 〜 変換されるIPアドレスの表示について 〜
いったん別の画面を開いた後、再度専用線NATの設定を行う画面に戻ると、それぞれ[NATで変換されるIPアドレス]欄と[IPマスカレードで変換されるIPアドレス]欄に該当するIPアドレスが表示されます。

(いったん別画面を開くことにより、専用線NATの設定欄が更新されるため。)
【 操作手順例 】
[IPマスカレードテーブル]ボタンをクリック。
「IPマスカレードテーブルの設定」画面で
[キャンセル]ボタンをクリック。
「ルーティングの設定」画面または
「専用線IP接続の設定」画面に戻る。
(画面の先頭に戻る。)
[IPアドレス変換を行う]欄まで画面をスクロール。
(「変換されるIPアドレス」が表示される。)

8-4/9-2 IPアドレス変換(専用線NAT)の設定 へ戻る




専用線NATの設定が完了しましたら、使用する接続機能に応じて、それぞれ以下へ進んで下さい。

  LAN型ダイヤルアップIP接続の場合
8-5 自動切断の設定 へ進んで下さい。

  専用線IP接続の場合
7-5/8-7/9-3 ネームサーバーの設定(RASサーバーIP接続/LAN型ダイヤルアップIP接続/専用線IP接続共通) へ進んで下さい。