「既製品では現場要件に合わない」
「通信制御や接続条件を調整したい」
「将来的には専用機として展開したい」
通信機器の導入や IoT 化を検討する現場では、このような課題が発生することがあります。
一方で、実際にOEM/ODMの導入を検討する段階になると、どの程度まで仕様を固める必要があるのか分からない、既製品のカスタマイズで対応できるのか判断できない、あるいはフルスクラッチ開発が本当に必要なのか見極められないといった課題に直面し、検討そのものが停滞してしまうケースも少なくありません。
本コラムでは、
・OEM と ODM の違い
・通信機器のOEM/ODMでつまずきやすいポイント
・要件整理で確認したいポイント
・フルスクラッチが必要になるケース
を整理しながら、通信機器 OEM/ODM を失敗しないための考え方を解説します。
目次
OEMとは?ODMとは?
通信機器開発を検討する際によく使われるのが、「OEM」と「ODM」という言葉です。
どちらも製品開発や製造を外部へ委託する形態ですが、対応範囲や進め方には違いがあります。
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、委託側が仕様や設計をある程度決めたうえで、製造や開発を依頼する形態です。
たとえば、
・既製品をベースに自社ブランド化したい
・通信設定や外観のみ変更したい
・既存仕様をもとに一部機能を追加したい
といったケースでは、OEM型で進められることがあります。
一方、ODM(Original Design Manufacturer)は、要件整理や設計段階から開発側が関与し、製品仕様を含めて提案・開発を行う形態です。
たとえば、
・既製品では運用条件を満たせない
・通信制御や接続仕様を専用化したい
・特殊な運用環境に合わせたい
といった場合は、ODM型の対応が必要になるケースがあります。
ただし実際の通信機器開発では、「OEM」「ODM」が完全に分かれているわけではありません。
既製品ベースの小規模カスタマイズから始め、運用条件に合わせて段階的に専用設計へ発展していくケースも少なくありません。
そのため通信機器 OEM/ODM では、「OEMか ODMか」だけでなく、
「どの段階のカスタマイズが必要なのか」
を整理しながら進める必要があります。
では実際に、通信機器 OEM/ODM はなぜ難しいのでしょうか。
次章では、通信機器開発が一般的な機器開発より複雑になりやすい理由を整理します。
通信機器のOEM/ODMでつまずきやすいポイント
通信機器の製品化をOEM/ODMで依頼しようとすると、最初につまずきやすいのが「何を、どこまで決めれば発注できるのか」です。現場としては「この用途で、こう動けばいい」というイメージはあるのに、仕様書に落とす手前で止まりがちです。OEMでもODMでも、通信機器はネットワーク条件や接続先の前提が絡むため、後からの手戻りがコストに直結します。だからこそ、OEM/ODM通信機器の検討では“悩みの型”を先に押さえておくのが近道です。
通信機器のOEM/ODM開発は、通信・ネットワーク・運用条件が複雑に関係するため、一般的な組込機器より要件整理が複雑になりやすい傾向があります。
その理由は、単に「機器を作る」だけでは成立しないからです。
通信機器には、使用環境や接続先、通信方式、運用方法など、多くの前提条件があります。
たとえば、
・4G/LTEやWi-Fiなどの通信回線
・VPNやクラウドとの接続条件
・設置場所の電波環境
・24時間稼働の有無
・既存設備との連携
・セキュリティ要件
など、事前に整理すべき項目が非常に多く存在します。
しかし実際の現場では、
「こういうことを実現したい」
というイメージはあっても、それを具体的な仕様へ落とし込めていないケースも少なくありません。
その状態で開発を進めると、
・試作後に追加要件が発生する
・想定していた通信環境で動作しない
・運用段階で監視や保守の課題が見つかる
といった問題につながります。
一方で、要件整理を十分に行わず「とりあえず開発会社へ任せる」という丸投げ型の進め方も危険です。
通信機器は、後工程になればなるほど仕様変更の影響が大きく、開発期間やコストにも直結します。
また、試作までは進んでも、
・安定供給
・長期運用
・認証対応
・量産品質
といった量産フェーズで課題が発生し、プロジェクトが止まってしまうケースもあります。
そのため、通信機器OEM/ODMでは、
「作れる会社かどうか」
だけでなく、要件整理や量産や長期運用まで継続して対応できるかも確認が必要です。
つまりOEM/ODM選びで本当に重要なのは、単なる開発力ではなく、複雑な条件を整理し、現場要件を具体化できる“要件整理から量産まで継続して対応できる体制”なのです。
では実際に、「現場要件に合った通信機器」を作るためには、どのように要件を整理すればよいのでしょうか。
次章では、「現場要件に合った通信機器」を実現するために、最初に整理しておきたいポイントを解説します。
「現場要件に合った通信機器」を作るための要件整理
通信機器の OEM/ODM では、最初から詳細仕様を完全に決め切ることが重要なのではありません。
むしろ重要なのは、
「どの条件が変えられないのか」
「どこまで既製品で成立できるのか」
を整理することです。
特に通信機器では、見落とされやすい前提条件が運用トラブルにつながるケースも少なくありません。
たとえば、要件整理の初期段階では、以下のような項目を確認する必要があります。
・どの設備・システムと接続するのか
・設置場所の通信環境はどうなっているか
・24 時間稼働が必要か
・通信断をどこまで許容できるか
・遠隔監視やリモート保守が必要か
・将来的な機能追加や拡張を想定するか
・長期運用や部材供給をどこまで考慮するか
これらを整理せずに進めてしまうと、
・試作後の仕様変更
・運用開始後の通信トラブル
・量産時の構成見直し
などにつながりやすくなります。
また、通信機器 OEM/ODM では、
「最初からすべてをフルスクラッチで作る」
ことが重要なのではありません。
実際には、
・既製品で成立できる部分
・追加カスタマイズが必要な部分
・専用設計が必要な部分
を段階的に切り分けながら進めることが、導入リスクを抑えるポイントになります。
要件整理によって開発の方向性が見えてきても、実際の OEM/ODM プロジェクトでは、試作や量産の段階で新たな課題が発生することがあります。
特に通信機器は、設計・製造・運用が複雑に関係するため、工程ごとの分断がプロジェクト停滞の原因になりやすい分野です。
次章では、通信機器開発が途中で止まりやすい理由と、ワンストップ支援が重要になる背景を整理します。
なぜプロジェクトは途中で止まるのか

通信機器のOEM/ODM開発では、試作までは進んでも、その後の量産や運用段階でプロジェクトが停滞するケースがあります。
特に多いのが、「やりたいこと」は決まっていても、それを開発仕様へ落とし込めないケースです。
例えば、
・現場で必要な運用条件
・接続先システムとの連携
・通信環境の制約
・セキュリティ要件
・保守方法
などが整理されないまま進行すると、開発途中で認識のズレが発生しやすくなります。
また、開発工程が複数企業に分かれている場合、
・ハードウェア
・ファームウェア
・通信設計
・クラウド連携
・量産対応
それぞれの責任範囲が曖昧になり、仕様変更時の調整負荷が大きくなります。
さらに、試作段階では問題が見えなくても、量産フェーズで部材調達や品質管理、長期供給の課題が表面化するケースもあります。
こうした問題を防ぐためには、単に「開発できる会社」を選ぶだけでは不十分です。
要件整理から設計、試作、量産、運用までを一貫して対応できる体制が重要になります。
そのため、近年ではワンストップで対応できるOEM/ODMパートナーが重視されています。
フルスクラッチが必要になるケース
通信機器OEM/ODMでは、「自由度が高いほど良い」と考えられがちですが、実際にはすべてを最初から専用設計することが最適とは限りません。
特に通信機器は、開発後半になるほど仕様変更の影響が大きくなりやすいため、既製品活用から段階的にカスタマイズ範囲を検討していく進め方が、結果的に開発リスクを抑えやすくなります。
まず整理しておきたいのが、通信機器のカスタマイズには段階があるという点です。
例えば、既製品の初期設定変更だけで対応できるケースもあります。VPN設定や接続先の変更、出荷時設定の調整だけで運用できるのであれば、短期間かつ低コストで導入しやすくなります。
次に多いのが、ファームウェア変更によるカスタマイズです。通信タイミングの制御や、特定機器との連携処理など、「動作」を変えたい場合はソフトウェア側の調整で対応するケースがあります。
さらに、インターフェース追加や構成変更が必要になる場合は、ハードウェアレベルの変更が必要になります。
例えば、
・特定センサーとの接続
・シリアル通信追加
・GPIO拡張
・電源仕様変更
などは、既製品ベースでは対応しきれないことがあります。
そして、こうした変更では成立しない場合に、初めてフルスクラッチ(ODM相当)が選択肢になります。
フルスクラッチが必要になりやすいのは、以下のようなケースです。
・通信仕様そのものを独自設計したい
・特殊な運用条件に合わせた制御が必要
・既製品では性能・サイズ・消費電力が合わない
・特定用途専用として最適化したい
・長期量産を前提に独自仕様化したい
特に通信機器では、外から見える機能だけでなく、通信制御やプロトコル処理まで含めて最適化が必要になるケースがあります。この領域になると、既製品改造では限界が出やすくなります。
一方で、注意したいのは「自由度が高い=最初からフルスクラッチが正解」ではないことです。
フルスクラッチは設計自由度が高い反面、
・要件整理
・試作検証
・部材選定
・量産設計
・保守体制
まで含めた判断が必要になります。
そのため実際の現場では、
1)まず既製品カスタマイズで成立するか整理する
2)足りない部分だけ段階的に変更する
3)それでも成立しない場合にフルスクラッチを検討する
という流れのほうが、導入リスクを抑えやすくなります。
重要なのは、「フルスクラッチかどうか」ではなく、どの段階の変更で目的を実現できるかを整理することです。
マイクロリサーチが通信機器OEM/ODMに対応しやすい理由

通信機器 OEM/ODM では、単に「開発できる」だけでなく、
・どこまで既製品を活用するか
・どの段階で専用設計へ移行するか
・量産や長期運用までどう見据えるか
を整理しながら進められる体制が重要になります。
特に通信領域では、運用開始後に通信条件や接続先要件が変化するケースもあり、導入時点だけでなく、将来的な拡張や運用変更まで見据えた設計が求められます。
そのため、通信制御や運用設計まで含めて柔軟に対応できるかが、OEM/ODM パートナー選定では、この対応範囲の差が導入後に影響しやすくなります。
マイクロリサーチでは、既製品ベースのカスタマイズから、通信制御を含めた専用設計まで、段階的な OEM/ODM 開発に対応しています。
実際に、IoTゲートウェイ製品で累計10万台超の出荷実績があり、その半数以上がカスタマイズ案件です。さらに、通信制御や筐体構成まで含めたフルカスタマイズ案件でも、累計3万台を超える導入実績があります。

無線LAN対応 IoTゲートウェイ MR-GM3
そのため、
・まずは既製品ベースで短期間導入したい
・運用に合わせて段階的に専用化したい
・量産や長期供給まで見据えて設計したい
といったケースにも柔軟に対応しています。
例えば、
・既製品では通信制御や運用条件が合わない
・VPN 接続や再接続処理を個別に調整したい
・まずは既製品ベースで導入し、将来的に専用機へ発展させたい
・長期供給や継続運用を前提に構成を検討したい
といったケースでは、単なる機器選定だけではなく、通信制御や運用設計まで含めた検討が必要になります。
特に通信機器では、導入後に接続先や運用条件が変化することもあるため、OS・プロトコル・通信制御・量産対応まで含めて柔軟に対応できる体制が重要になります。
また、通信機器 OEM/ODM では、
・試作までは進んだが量産で課題が出る
・運用開始後に保守負荷が増える
・長期供給時に部材変更対応が必要になる
といったケースも現場ではよく起きます。
そのため、要件整理・設計・試作だけでなく、量産や長期運用まで見据えて継続的に対応できるかも重要になります。
通信機器の OEM/ODM を検討する際は、
「フルスクラッチかどうか」
だけではなく、
「どの段階のカスタマイズが最適なのか」
「将来的な運用変更まで見据えて進められるか」
を整理しながら進めることが重要です。
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