10-5 RIPの設定


RIPの設定について説明します。

RIPとは、「通信経路の情報を伝送するルータ間プロトコル(通信規約)」のことです。

NetGenesisと他のルータ間でRIPを使用することにより、ルーティングの設定が自動的に行われるようになります。

  RIPの設定を行うためには、ネットワークに関する知識が必要です。
設定を行う場合は、ネットワーク全体の構成を明確化し、LAN管理者等と相談の上で設定して下さい。
  はじめに 10-5-1 RIPの動作について を参照して下さい。


以下の各項目を参照して下さい。

  10-5-2 RIP1/RIP2の設定
  10-5-3 RIP信用ルータの設定

第10章 LANポートの設定/高度な設定 へ戻る


10-5-1 RIPの動作について


RIPの動作について説明します。

以下の各項目を参照して下さい。

  RIPを使用する・使用しない場合の違い
  RIP1とRIP2の違い
  RIPの制限とシリアルポートへのRIP広告動作について

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RIPを使用する・使用しない場合の違い


RIPを使用する・使用しない場合の、ルーティング設定の違いについて説明します。

NetGenesisと他のルータ間でRIPを使用することにより、ルーティングの設定が自動的に行われるようになります。

以下の環境例を参考にして下さい。



  RIPを使用しない場合の設定

事業所1のNetGenesisの設定

シリアルポート1
(ISP・専用線IP接続)

デフォルトゲートウェイ
メトリック 1

シリアルポート2
(専用線IP接続)

以下のルーティングテーブルを設定
IPアドレス xxx.xxx.0.0
サブネットマスク 255.255.255.0
メトリック 1

事業所2のNetGenesisの設定

シリアルポート1
(専用線IP接続)

以下のルーティングテーブルを設定
IPアドレス xxx.xxx.1.0
サブネットマスク 255.255.255.0
メトリック 1

シリアルポート2
(ISP・専用線IP接続)

デフォルトゲートウェイ
メトリック 1

回線障害等、何らかの理由で回線が切断された場合、その通信経路は再接続されるまで不通となります。(ルーティングの設定が固定のため。)
例えば、事業所2のシリアルポート2のISP専用線に回線障害が発生した場合(回線が切断された場合)、事業所2からインターネットへ接続することができなくなります。

  RIPを使用する場合の設定
 ※RIPの具体的な設定内容については、ここでは省略します。

事業所1のNetGenesisの設定

シリアルポート1
(ISP・専用線IP接続)

デフォルトゲートウェイ
メトリック 1

シリアルポート2
(専用線IP接続)

ルーティングテーブルの設定

必要なし
(RIPによって自動的に行われる)

事業所2のNetGenesisの設定

シリアルポート1
(専用線IP接続)

ルーティングテーブルの設定

必要なし
(RIPによって自動的に行われる)

シリアルポート2
(ISP・専用線IP接続)

デフォルトゲートウェイ
メトリック 1

ルーティングの設定は、RIPによって自動的に行われるため、必要ありません。
また、回線障害等、何らかの理由で回線が切断された場合、自動的にルーティングの設定が変更されます。
例えば、事業所2のシリアルポート2のISP専用線に回線障害が発生した場合(回線が切断された場合)、自動的にルーティングの設定が変更され、以下の経路でインターネットへ接続することができます。

事業所2のシリアルポート2(ISP専用線・デフォルトゲートウェイ)が不通に。

事業所2のシリアルポート2宛のTCP/IPパケットは
シリアルポート1を経由して事業所1へ送られる。
(RIPにより、事業所1のデフォルトゲートウェイが知らされているため。)

 事業所1のシリアルポート2→シリアルポート1
(ISP専用線・デフォルトゲートウェイ)と経由して
事業所2からインターネットへ接続可能。


 ※ 事業所2のISP専用線が復旧した場合、事業所2は元の状態
(事業所2のシリアルポート2経由)でインターネットへ接続する
ようになります。

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RIP1とRIP2の違い


RIP1とRIP2の違いについて説明します。

RIP2はRIP1の上位互換で、RIP1に対して以下の機能が追加されています。

  サブネットマスク情報の広告
RIP1の場合、サブネットマスク情報を広告しませんので、サブネットマスクによって分けられたネットワークについては、正しくルーティングの制御を行うことができません。 (サブネットマスク情報を受け付けることもできません。)

【 RIP1 】

ネットワーク1

  

RIP1の場合、ネットワーク1とネットワーク2を
同一ネットワークとして認識してしまう。

正しくルーティングの制御を行うことができない。

(サブネットマスク情報を広告しないため。)

IPアドレス:192.168.0.0
サブネットマスク:255.255.255.128

ネットワーク2

IPアドレス:192.168.0.128
サブネットマスク:255.255.255.128

これに対し、RIP2はサブネットマスク情報を広告する・受け付けることが可能なため、サブネットマスクによって分けられたネットワークにおいても、正しくルーティングの制御を行うことができます。

【 RIP2 】

ネットワーク1

  

RIP2の場合、ネットワーク1とネットワーク2を
別ネットワークとして認識可能。

正しくルーティングの制御を行うことが可能。

(サブネットマスク情報を広告するため。)

IPアドレス:192.168.0.0
サブネットマスク:255.255.255.128

ネットワーク2

IPアドレス:192.168.0.128
サブネットマスク:255.255.255.128

  RIPルータ間の認証機能
RIP2では、RIP2ルータ間でパスワードによる認証を行うことが可能です。
認証機能を使用した場合、同一パスワードのRIP2ルータからのRIP広告のみを受け付けます。
RIP1ルータ、及び異なるパスワード、または認証なしのRIP2ルータからのRIP広告は受け付けません。

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RIPの制限
とシリアルポートへのRIP広告動作について


RIPの制限と、シリアルポートへのRIP広告動作について説明します。

  RIPの制限
RIP広告が届くルータのホップ数(段数、ネットワークの数)は15段(メトリック15)までです。
16段目以降にはRIP広告は届きません。
ネットワーク1 0段目(メトリック0)
IPアドレス:192.168.0.0
サブネットマスク:255.255.255.0
ネットワーク2 1段目(メトリック1)
IPアドレス:192.168.1.0
サブネットマスク:255.255.255.0
ネットワーク3 2段目(メトリック2)
IPアドレス:192.168.2.0
サブネットマスク:255.255.255.0
ネットワーク4 3段目(メトリック3)
IPアドレス:192.168.3.0
サブネットマスク:255.255.255.0




 
ネットワーク16 15段目(メトリック15)

RIP広告が届くのはここまで
IPアドレス:192.168.15.0
サブネットマスク:255.255.255.0
ネットワーク17 以降、RIP広告は届きません
IPアドレス:192.168.16.0
サブネットマスク:255.255.255.0

  シリアルポートへのRIP広告動作について
使用するNetGenesisの接続機能により、シリアルポートへのRIP広告動作が異なります。
 ※ LANポートについては、どの接続機能であっても「RIP広告する」、「RIP広告を受け付ける」になります。
  シリアルポート
へのRIP広告
シリアルポート
からのRIP広告

NetGenesis
の接続機能

ダイヤルアップIP接続
(ISP・端末型/RASクライアント)
広告しない 受け付けない
RASサーバーIP接続 広告しない 受け付ける
ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付ける
LAN型ダイヤルアップIP接続 広告する 受け付ける
ISP・専用線IP接続 広告しない 受け付ける
専用線IP接続 広告する 受け付ける

専用線NATを使用した場合

シリアルポート
へのRIP広告
シリアルポート
からのRIP広告

NetGenesis
の接続機能

ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付けない
LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付けない
ISP・専用線IP接続 広告しない 受け付けない
専用線IP接続 広告しない 受け付けない

IPマスカレードテーブルを設定した場合

シリアルポート
へのRIP広告
シリアルポート
からのRIP広告

NetGenesis
の接続機能

ダイヤルアップIP接続
(ISP・端末型/RASクライアント)
広告しない 受け付ける
ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付ける
LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付ける
ISP・専用線IP接続 広告しない 受け付ける
専用線IP接続 広告しない 受け付ける

NATを使用した場合

シリアルポート
へのRIP広告
シリアルポート
からのRIP広告

NetGenesis
の接続機能

ダイヤルアップIP接続
(ISP・端末型/RASクライアント)
広告しない 受け付ける
ISP・LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付ける
LAN型ダイヤルアップIP接続 広告しない 受け付ける
ISP・専用線IP接続 広告しない 受け付ける
専用線IP接続 広告しない 受け付ける

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RIPの設定を行う場合、10-5-2 RIP1/RIP2の設定 へ進んで下さい。


10-5-2 RIP1/RIP2の設定


RIPの設定について説明します。

IPアドレス変換(専用線NAT)を使用する場合、IPマスカレードテーブルの設定が必要です。
詳しくは 第11章 IPマスカレードテーブルの設定 を参照して下さい。


RIPの設定を行う場合、以下の手順で行って下さい。

  ※ LANポートの設定画面を開く手順が分からない場合は こちら を参照して下さい。(WWWブラウザの別ウィンドウが開きます。)
  1. 「LANポートの設定」画面で、[RIP]ボタンをクリックして下さい。




  2. 「RIPの設定」画面が開きます。

    [RIPを使用する]にチェックを入れて下さい。




  3. 「RIP1」と「RIP2」のどちらを使用するか、選択します。

    NetGenesisとRIP広告をやりとりするルータに合わせて、[RIP1]か[RIP2]を選択して下さい。



    RIP1ではサブネットマスク情報を広告しません。
    (受け付けることもできません。)
    よって、サブネットマスクによって分けられたネットワークについては、正しくルーティングの制御を行うことができませんので、注意して下さい。

      [RIP1]を選択した方は、5へ進んで下さい。
      [RIP2]を選択した方は、4へ進んで下さい。


  4. [RIP2]を選択した場合、RIP2ルータ間でパスワードによる認証を行うことにより、一部のRIP2ルータとのみ、RIP広告をやりとりすることができます。

    パスワードを設定する方は、[認証機能を使用する]にチェックを入れ、[パスワード]、及び[パスワード再入力]欄に設定するパスワードを半角英数字(最大16文字)で入力して下さい。



      他のルータに設定されているパスワードと、同じパスワードを入力して下さい。
    パスワードを間違えた場合、パスワードが設定されているルータからのRIP広告を受け付けなくなりますので、注意して下さい。
      パスワードを設定した場合、RIP1ルータ、及び、異なるパスワード、または認証なしのRIP2ルータからのRIP広告を、受け付けなくなりますので注意して下さい。

    備考 〜 パスワード入力欄の表示について 〜
    一度本画面を閉じた後に再度開くと、[パスワード]及び[パスワード再入力]欄は、入力したパスワードの文字数に関係なく「*」が表示されます。
    【 参考例 】
    ・Internet Explorer (Windows) 「*」が8個表示されます。
    ・Netscape Communicator (Windows、Macintosh)
    ・Internet Explorer (Macintosh)
    「*」が16個表示されます。


  5. [回線切断時のLAN側への動作]の設定を行います。

    [RIPで広告する]か、[RIPで広告しない]のどちらかを選択して下さい。

      RIPで広告する
    NetGenesisのシリアルポートで回線が切断されても、LAN側へRIPで広告し続けます。(このときにLAN側へRIPで広告する内容は、シリアルポートに設定されたルーティング情報です。)

      RIPで広告しない
    NetGenesisのシリアルポートで回線が切断されたときに、LAN側へRIPで広告しません。

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  RIP信用ルータの設定を行う場合
10-5-3 RIP信用ルータの設定 へ進んで下さい。

  RIP信用ルータの設定を行わない場合
設定は全て完了です。「RIPの設定」画面で[OK]ボタンをクリックして下さい。


10-5-3 RIP信用ルータの設定


RIP信用ルータの設定について説明します。

ここで登録したルータからのRIP広告(更新情報)を、NetGenesisが受け入れるか・受け入れないかを設定します。


[RIP信用ルータを設定する]にチェックを入れて下さい。

 


[登録したルータからの更新情報を受け入れる]か、[登録したルータの更新情報を受け入れない]のどちらかを選択して下さい。

 


以下の各項目を参照して下さい。

  信用ルータの新規登録
  信用ルータの編集(修正)
  信用ルータの削除

登録可能な信用ルータ数は、最大8個です。

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信用ルータの新規登録

以下の手順で信用ルータの登録を行って下さい。
  1. 登録する信用ルータのIPアドレスを半角数字で入力して下さい。




  2. [追加]ボタンをクリックして下さい。

    入力したIPアドレスが登録リストに追加されます。




以上で信用ルータの登録は完了です。

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信用ルータの編集(修正)

登録済みの信用ルータを修正したい場合、以下の手順で行って下さい。

  1. 「登録リスト」欄の中から、修正する信用ルータ(IPアドレス)を選択して、[編集]ボタンをクリックして下さい。




  2. 選択した信用ルータのIPアドレスが入力欄に表示されますので、必要に応じて修正を行って下さい。




  3. 修正が終わりましたら[追加]ボタンをクリックして下さい。

    修正した内容が「登録リスト」に追加されます。


以上で信用ルータの修正は完了です。

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信用ルータの削除

登録済みの信用ルータ(IPアドレス)を削除したい場合、削除する信用ルータ(IPアドレス)を選択して、[削除]ボタンをクリックして下さい。




削除を行った場所は、そのまま空欄になります。
新たに信用ルータの登録を行うと、その空欄の場所に登録されます。

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