10-1.IPマスカレードテーブル設定

IPマスカレードテーブルの設定について説明します。

IPマスカレードテーブル設定を行う際の注意
  UDPポート1024番以降を設定する際は、LAN→WANへのUDP通信用として、少なくとも2048(個)以上のUDPポートを確保して下さい。
 
 * "UDPポート1024〜65535番" という設定を行わないで下さい。
  IPマスカレードテーブルに設定したUDPポートは、WAN→LANへのUDP通信用となり、LAN→WANのUDP通信では使用できません。
  詳しくは こちら を参照して下さい。

  契約しているISPによっては、IPマスカレードテーブルを設定しても動作しないソフトウェアがあります。
  (ISPから付与されたIPアドレスがグローバルIPアドレスでは無い場合や、セキュリティの問題によりISP側で遮断している場合等)
  NetGenesisのLAN内のWWWサーバーをインターネット側へ公開する場合やネットワークゲームを行う場合、あらかじめ契約しているISPへ確認して下さい。

  TCP、UDP、ICMP、GRE、ESP、EtherIP以外のプロトコルを使用するソフトウェアは、IPマスカレードテーブルを設定しても動作しません。
 
WANポート、PPPoEポートの動作モード設定で、以下の動作モードを選択した場合、本設定は不要です。
  PPPoE セッション1 IPアドレス固定(1〜16個) [IPアドレス変換有効]
 ・ ISPから取得したグローバルIPアドレスが2〜16個で、NAT変換によってサーバー公開等を行う場合。
  (IPマスカレード変換されるグローバルIPアドレスでサーバー公開等を行う場合は、本設定が必要です。)
  PPPoE セッション1 アンナンバード(unnumbered) [IPアドレス変換無効]
  IPアドレス固定・IPアドレス固定(1〜16個) [IPアドレス変換有効]
 ・ ISPから取得したグローバルIPアドレスが2〜16個で、NAT変換によってサーバー公開等を行う場合。
  (IPマスカレード変換されるグローバルIPアドレスでサーバー公開等を行う場合は、本設定が必要です。)
  IPアドレス固定・アンナンバード(unnumbered) [IPアドレス変換無効]
  ローカルルータ [IPアドレス変換無効]

IPマスカレードテーブルとは、「インターネット側から発信されたIPフレームを、プロトコルやポート番号に応じてLAN内の特定のIPアドレスへ転送する機能」です。

この機能により、NetGenesisのLAN内のパソコンでWWWサーバーを運用することや、ネットワークゲームを行うこと等が可能となります。

以下の内容を参照して下さい。
 概要
 設定手順
 10-1-1.設定例
  → 以下のような場合の設定例について説明します。
必要に応じて参照して下さい。
 
WWWサーバーをインターネット側へ公開する例
FTPサーバーをインターネット側へ公開する例
ネットワークゲームを行う例
WAN側からNetGenesisの設定を行う例
 10-1-2.VPNプロトコル(IPSecとPPTP)の扱い
  → LAN内のパソコンでPPTP(※)、またはIPSecによるVPNプロトコルの通信を行う場合に必要な設定について説明します。
 
 ※ LAN内でPPTPサーバーを運用する場合(WAN側→LAN側へのPPTP通信)、IPマスカレードテーブル設定が必要です。
  LAN内からWAN側のPPTPサーバーへ接続する場合(LAN側→WAN側へのPPTP通信)、IPマスカレードテーブル設定は不要です。
(WANポートの動作モード・詳細設定、またはPPPoE動作モード・詳細設定で「PPTP変換の設定」を行う必要があります。)
 
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概要

IPマスカレードテーブルの概要、DMZホスト機能との違い等について説明します。
(NetGenesisのWAN側でIPアドレスを1つ自動取得、または1つ固定の場合を元に説明します。)
 

  IPマスカレードテーブルの設定が不要な場合
  通常、IPマスカレードを使用してインターネットのホームページを閲覧したり、メールの送受信を行う場合(NetGenesisのLAN内からインターネットへ接続が開始される場合)、IPマスカレードテーブルの設定を行う必要はありません。

  IPマスカレードテーブルの設定が必要な場合
  インターネット側からNetGenesisのLAN内へ接続が開始された場合、インターネット側からはNetGenesisのIPアドレス(WANポート)しか見えないため(LAN内のプライベートIPアドレスはインターネット側からは見えないため)、接続することができません。
  例えば、LAN内のパソコンでWWWサーバーを運用する場合や、LAN内のパソコンでネットワーク対戦ゲームを行う場合、上記のようにインターネット側からNetGenesisのLAN内へ接続が開始されることになります。
 
すなわち、IPマスカレードの初期状態(IPマスカレードテーブル・未設定の状態)では、LAN内のパソコンでWWWサーバーを運用したり、ネットワーク対戦ゲームを行うことはできません。
 
IPマスカレードテーブル設定は、インターネット側から接続が開始されるIPフレーム(プロトコル・ポート番号)を、NetGenesisがLAN内の特定のパソコン(IPアドレス)へ正しく送るように制御(ルーティング)するための設定です。
 
IPマスカレードテーブル設定を行うことにより、インターネット側からNetGenesisのLAN内へ接続が開始された場合でも、上記のように接続が可能になります。

  DMZホスト機能との違い・ファイアウォールとの関係
  NetGenesisのLAN内のパソコンでWWWサーバーを運用したり、ネットワーク対戦ゲームを行うためには、「IPマスカレードテーブル」の設定を行う方法と「DMZホスト機能」の設定を行う方法の2通りがあります。
 
それぞれの違いは以下の通りです。
 
DMZホスト機能 IPマスカレードテーブル
 ・ プロトコルやポート番号の設定が不要。
(設定はIPマスカレードテーブルよりも容易。)
 ・ プロトコルやポート番号の設定が必要。
(設定はDMZホスト機能よりも難しい。)
 ・ 転送先に設定できるパソコン・IPアドレスは1つのみ。
 ・ プロトコル・ポート番号ごとに転送先を設定できる。
(プロトコル、ポート番号が異なれば、複数の転送先を設定可能。)
 ・ 転送先を変更可能。
(「DMZホスト制御」画面にて設定可能。)
 ・ 転送先はプロトコル・ポート番号ごとに固定設定。
 ・ 転送先に設定したパソコン・IPアドレスについては、セキュリティが低下する。
(インターネット側から通信が開始される全てのIPフレームが転送されるため、インターネット側から容易にアクセス可能になる。)
 ・ インターネット側から通信が開始されたIPフレームのプロトコル・ポート番号がIPマスカレードテーブルに未設定の場合、IPマスカレードによって遮断される。
 
また、IPマスカレードテーブルとDMZホスト機能、ファイアウォールの関係は、以下の図のようになっています。
  (DMZホスト機能・有効時)
 
 
 チェック!
IPマスカレードテーブルの設定で特定のプロトコル・ポート番号をLAN内の特定のIPアドレスへ送るように設定しても、ファイアウォール(IPフィルタ)の設定でそのプロトコル・ポート番号を遮断(WAN側→LAN側)するように設定した場合、インターネット側(WAN側)からLAN側へのアクセスはできません。
(WAN側から通信が開始されるIPフレームは「IPマスカレードテーブル」→「ファイアウォール」の順番に処理されます。)

 
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設定手順

IPマスカレードテーブル設定(テーブル情報の設定)について説明します。

設定画面メニューの「WANポートの設定」の中の、[IPマスカレードテーブル設定]をクリックして下さい。


 
IPマスカレードテーブル設定を行う際の注意
  UDPポート1024番以降を設定する際は、LAN→WANへのUDP通信用として、少なくとも2048(個)以上のUDPポートを確保して下さい。
 
 * "UDPポート1024〜65535番" という設定を行わないで下さい。
  IPマスカレードテーブルに設定したUDPポートは、WAN→LANへのUDP通信用となり、LAN→WANのUDP通信では使用できません。
   WAN→LAN:WAN側から通信開始
 
LAN→WAN:LAN側から通信開始
  NetGenesisはIPマスカレード変換時、LAN→WANへのUDP通信において、発信元ポート1024〜65535番を使用します。
  このため、IPマスカレードテーブルに "UDPポート1024〜65535番" を設定すると、LAN→WANへのUDP通信で使用可能なUDPポートが無くなってしまい、様々な問題が発生します。
 
 問題の例) LAN側からDNS名前解決ができなくなり、LAN側のパソコンからホームページへアクセスできなくなる。
  この問題を回避するためには、前述の通り「2048(個)以上のUDPポートを、LAN→WANへのUDP通信のために確保する(IPマスカレードテーブルに設定しない)」ようにして下さい。
  以下の例を参考にして下さい。
 
 例1) プロトコル:UDP 先頭ポート番号:1024
  変換IPアドレス:xxx.xxx.xxx.xxx   終了ポート番号:60000
   → 《問題なし》
 ・WAN→LANで使用可能なUDPポート 1024〜60000番
 ・LAN→WANで使用可能なUDPポート 60001〜65535番
 
 例2) プロトコル:UDP 先頭ポート番号:1024
  変換IPアドレス:xxx.xxx.xxx.xxx   終了ポート番号:65535
   → 《問題あり》
 ・WAN→LANで使用可能なUDPポート 1024〜65535番
 ・LAN→WANで使用可能なUDPポート 無し
   UDPポート1024番以降が全てIPマスカレードテーブル(WAN→LANへのIPマスカレード変換)用になるため、LAN→WANで使用可能なUDPポートが無くなってしまう。
  (=LAN→WANへのUDP通信ができない。)

  IPマスカレードテーブルの設定を行うにあたって、使用するソフトウェア(ネットワークゲーム等)の以下の情報が必要となります。
 
使用するプロトコル TCPプロトコルかUDPプロトコルか等
ポート番号 プロトコルの使用するポート番号xxxx等
  詳しくは、使用するソフトウェアのマニュアル等を参照して下さい。

  TCP、UDP、ICMP、GRE、ESP、EtherIP以外のプロトコルを使用するソフトウェアは、IPマスカレードテーブルを設定しても動作しません。

  IPマスカレードテーブルの設定が必要なソフトウェアによっては、LAN内の複数台のパソコンで同時使用ができないものがあります。
  あらかじめご了承下さい。

  インターネット(WAN)側からNetGenesisのLAN内のパソコンへ接続する場合、NetGenesisのWAN側のIPアドレスを指定して下さい。
 
  動作モードが「DHCPクライアント・IPアドレス自動取得」の場合、17-2.WANポート情報 を参照してWAN側のIPアドレスを調べて下さい。
 
  動作モードが「PPPoE セッション1 IPアドレス自動取得」または「PPPoE セッション1 IPアドレス自動取得」の場合、17-1.PPPoEポート情報・制御 を参照してWAN側のIPアドレスを調べて下さい。
 
  動作モードが「PPPoE セッション1 IPアドレス固定(1〜16個)」または「IPアドレス固定・IPアドレス固定(1〜16個)」の場合、動作モードの詳細設定画面内の「WAN側 IPマスカレード変換用IPアドレス」を指定して下さい。

  各ポートに登録可能なテーブル情報数は最大32個です。
  (PPPoE ポート1・32個、PPPoE ポート2・32個、WANポート・32個)


設定箇所は動作モードによって異なります。



以下の手順でテーブル情報(エントリ)の登録を行って下さい。


(以降、PPPoE ポート1に登録する例です。)
 
 メ モ 
 ・ 複数固定IPアドレス変換機能(NAT/IPマスカレード)を使用する場合、[WAN側 IPマスカレード変換用IPアドレス]に対してIPマスカレードテーブルが動作します。
 ・ PPPoEマルチセッション機能を使用する場合、PPPoE セッション1とセッション2の両方のIPマスカレードテーブルが有効になります。
  1. 登録リスト [変換IPアドレス]欄右下の[編集]ボタンをクリックして下さい。


    「IPマスカレードテーブル リスト追加・編集」画面が表示されます。


     
  2. 対象とするプロトコルの設定を行います。


    [▼]をクリックし、候補の中から選択して下さい。


    TCP or UDP TCPプロトコルとUDPプロトコルを対象とします。
    TCP TCPプロトコルを対象とします。
    UDP UDPプロトコルを対象とします。
    ICMP ICMPプロトコルを対象とします。
    ESP ESPプロトコルを対象とします。
    EtherIP EtherIPプロトコルを対象とします。
     
  3. 先頭ポート番号と終了ポート番号の設定を行います。


    それぞれの入力欄に、[プロトコル]欄で選択したプロトコルのポート番号を半角英数字で入力して下さい。


    1つのポート番号のみを指定する場合、[先頭ポート番号]と[終了ポート番号]欄に同じポート番号を入力して下さい。

     メ モ 
    [プロトコル]欄で[ICMP]、[ESP]、[EtherIP]を選択した場合、ポート番号の設定は不要です。

    ウェルノウンポート一覧について
    ウェルノウンポートについてはプロトコル名またはサービス名での入力も可能です。
    (NetGenesisの設定画面と別のウィンドウが開きます。「ウェルノウンポート一覧」画面はコピーが可能です。)
     
  4. 変換IPアドレスの設定を行います。


    [変換IPアドレス]欄に、LAN内のルーティング先パソコンのIPアドレスを入力して下さい。


    例えば、LAN内のパソコンでネットワークゲームを行う場合や、WWWサーバーを運用する場合、そのパソコンのIPアドレスを入力します。


     チェック!
    [変換IPアドレス]欄にIPアドレスを指定する場合、DHCPサーバーから付与されないIPアドレスを指定して下さい。
    DHCPサーバーから付与されるIPアドレスを指定した場合、LAN内のパソコンの起動順番によって各パソコンのIPアドレスが変わりますので、特定のパソコンを指定することができません。
    実際に設定する際は、既存のLAN等に合わせて設定して下さい。
     
  5. 全ての設定が完了しましたら、[追加]ボタンをクリックして下さい。


    入力したテーブル情報がリストに追加されます。



     チェック!
    登録リストの順番が、そのまま処理の「優先順位」になります。
    「追加したエントリが最後尾にある=一番最後に処理される」ということになりますので、必要に応じて追加したエントリを移動して下さい。
  エントリ右横のボタンについて
  既存のエントリを編集(修正)、移動する際に使用します。
 
  操作方法については 登録リストを有する画面に表示されるボタン (3-3.設定画面内のボタンの意味) を参照して下さい。

全ての設定が完了しましたら、[設定]ボタンをクリックして下さい。


 
 
全ての設定が完了した場合は、
左のメニューの   設定の更新   をクリックして下さい。
  "設定の更新" と "NetGenesisの再起動" を行って下さい。
  詳しくは 3-4.設定の終了(更新・再起動) を参照して下さい。
  引き続き設定を行う場合は、左のメニューをクリックし、必要な設定を行って下さい。
 
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